センスあることば
2011-04-23


私のいうセンスとはこういうことばのことだ。鷲田清一は次のようにも述べている。

 沈黙のあと、もし妻が亡くした夫のことにふれて「(あのときもう、じぶんもいっしょに)あっさり逝(い)てもうたほうがよかった……」などと漏らせば、聴くほうが辛すぎて、二の句を継げない。

 今、聴く方が辛すぎることばばかりである。むろん、そういうこことばはそれはそれで感情を解放し立ち直っていくきっかけである。が、たぶん、被災の現地では、このようなユーモアのある、あるいはセンスあることばがきっと多く交わされているに違いない。が、マスコミはそれを拾わない。拾うのは、こちらが聴くことの辛くなることばばかりだ。取材する方にセンスがないのだ。

 でも、まだセンスあることばに気づくのには時間がかかるのかも知れない。それだけリアリティがありすぎるということであろう。ただ、政治家のことばは少なくともセンスが欲しいものである。

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