入学前に…
2007-11-30


今日は授業を3コマ、会議が四つ続くという超ハードな一日であった。課外講習で「万葉集」を教えているのだが、この万葉の授業が入ったので、一日3コマということになった。

 会議は教授会が二つと、小さな会議が二つ。最後の会議が終わったのは7時半。小学館の地下の蕎麦屋で夕飯を食べ、地下鉄で帰る。家に着いたのが9時半である。さすがにへとへとである。

 最後の会議は入学前教育をどうやるかという打ち合わせである。わが学科では、かなりの人数を推薦で取っている。つまり、きちんとして学力考査なしに入学させるのであるから、当然、中には基礎学力不足の学生がいる。しかも、高校3年の時に卒業の半年前に決まってしまうから、半分の学期は遊んでしまうという高校生が多い。

 こういう学力不足の高校生の教育をどうするのか、というのが、今どこの大学でも問われているのである。さすがに、予備校とかの受験産業というのは、そういう高校生のための補習プログラムというのを作っていて、今日、そのいくつかのプログラムと見積もりとを出してもらい検討した。

 まだ検討している段階であるが、かりにやれるとすれば、業者の学力テストを用いて合格した学生の学力を把握し、必要な学生にはこちらが用意した学習プログラムをやってもらうということになるだろう。むろん、入学前にである。ただ、業者に頼めば金がかかる。かといって教員でそれをやる余裕はとてもじゃないがない。

 だから、入学前教育が出来るかどうかは、経営判断という要素も加わる。さすがに、入学前教育で検索するとあちこちの大学でやっている。インターネットを使って、高校生に学習させている(eラーニング)をやってるところもある。

 全入時代とか言われて、厳しい試験無しに入学させざるを得ない多くの大学は、大学で教育をうけさせるための準備の教育にけっこう金を使って、いろいろ苦労しているのだ。われわればかりではない。

 私のところも入学前教育に一歩踏み出すことにした。推薦で合格した受験生はよもや学力テストを受けるなんて思ってもいないだろうが、学力テストを受けてもらうことになりそうだ。基礎的教育に、読み書きそろばんという言い方がある。そろばんはないが、読み書きのほうをここまでしてやるとは思わなかった。

 入学して一年たったらまた同じようなテストをして、どの位実力がついたかを数値で図るということも考えている。むろん、学力と教養は違う。テストで計れるものではない。が、あるレベルまでは、学力は必要なのだ。教養があろうとなかろうと生きていけるが、あるレベルの学力がなければ生きていけない。そういう世の中に学生を送り出す身としては、頼むから最低限の読み書きそろばんを習得して、何とかこの厳しい社会を乗り切ってくれ、と祈るばかりである。

        教養など笑い飛ばして冬に入る

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