したたかさが大事
2006-12-12


知人が蓼科に中古のログハウスを買い、今日はその山荘に荷物を運び入れるというので手伝い。20年もののログハウスで、なかなか古びてて、苔むすログハウスといったところか。建物自体はしっかりしているのだが、内装はほとんど手つかずで、天井の張られていない部屋があるし、素人が張ったような安っぽい壁紙もある。その割には立派な薪ストーブがあり、床もチークの無垢材で、何となくアンバランスな家であった。それにしても20年経つのに、何で内装が未完成なのか、20年間よくこのログハウスで使っていたものだと感心し、前のオーナーはかなり変わった人ではいなかという話になった。

 ログハウスは20年ものがいいらしい。丸太と丸太との隙間が20年経つと密着してくるからで、家自体が安定してくるらしい。確かに、ログハウスの欠点は、丸太と丸太を重ねていくのだがどうしても隙間が出来てしまうところだ。パテを塗り込んで隙間を埋めるのだが、なかなか埋めきれないらしい。私の家は、ありきたりの在来工法の山小屋なので、そういう心配はない。

 耐久性という点からはログハウスは長持ちする。が、窓が少ないというのが難点だ。もともと北欧で発達した寒冷地用の家だから、窓は少なく小さい。窓は丸太をくりぬくわけだから窓が多いとログハウス自体の構造が弱くなる。日本の在来工法は、屋根を柱で支える吊り壁方式(照葉樹林文化地域によく見られる建築)だから、壁は竹で編んだようなものでもかまわない。この方式だと南側の壁のほとんどを出入り口を兼ねた掃き出し窓に出来る。陽が部屋の中まで入り冬暖かい。私の山小屋がそうである。が、ログハウスは、壁で屋根を支える方式だから、基本的に太陽は部屋の中には入らない構造になっている。最近は、破風の部分をガラス張りにして太陽を入れる工夫をしたログハウスもあるが、かなり高価になる。

 別荘はログハウスがいいと誰しも思うから人気があるが、高温多湿の地域で日当たりがいいか悪いかにこだわる日本では必ずしも住みやすくないのである。私の住む山小屋は外が零下になっても日が当たれば部屋は温室効果で暖房はいらない。だが、ログハウスは、暖房なしでは過ごせない時期が多いのである。

 ログハウスの人気は、やはりそれが日本にはなじまない非日常の建築だからだろう。非日常を味わいたくて別荘を持つのだから、日当たりなど気にしないのだ。私の山小屋はほとんど私の生活にとって日常そのものだから、日当たりは大事なのである。だから、ログハウスは最初あこがれたけど、今になって和風の在来工法でよかったと思っている。

 ところで知人は、あまり頻繁に使うわけではないらしいので、ログハウスが気に入ったらしい。ちなみに、400坪近い土地(地上権)と30坪程度のログハウス20年ものいくらだと思いますか。一千万円を超えない値段です。

 さすがに昨日今日と寒くなってきた。八ヶ岳もだいぶ白くなった。厚手の手袋なしでは散歩もつらくなってきた。

     冬帝も身震いするや頬被り

     オリオンの星だねと独り寒天に

戻る

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット